対馬で生きる若者の日常と本音 #001 古藤孝政さん

対馬を支える人
小宮 大輔

「対馬で生きる若者の日常と本音」は、対馬で暮らす若い島人の生き方や考え方を紹介するリレーインタビュー記事です。

初回となる今回は、古藤 孝政(ことう たかまさ)さんにお話を伺いました。

学校帰りの車窓から見る対馬の夕日に心を奪われた

小宮

古藤さんはUターン組ですか?

古藤

いや、ずっと対馬在住です。

小宮

これまでの経歴を教えてください。

古藤

豊玉町で生まれて、小中高とずっと豊玉に住んでいます。高校卒業後すぐに福祉の仕事に就きました。当時の先生からは「福岡に行ったらどうだ」と言われたんですけど、親は残ってほしいと言うし、自分自身対馬が好きだから残ろうかと思った感じです。働き出して7年目に突入します。

小宮

1ヶ所で7年も働いたことない(笑)すごい。
大多数の若者が一度島外に出る対馬ですけど、学生のときから対馬が好きだと思っていたんですね?

古藤

はい。学校行って、帰りの車の中から見る夕日がきれいで。そういうのが好きなんです。都会にときどき行くじゃないですか?人がいっぱいいたりとか…人混みが苦手で。同じ日本なのに日本じゃない感じ。対馬には日本っぽさが残っていて、自分にはそっちのほうが魅力的なんです。。あと、極度の方向音痴で(笑)

福祉の仕事はたくさんの「ありがとう」をもらえる

小宮

今従事している福祉の仕事について少し聞かせてください。

古藤

主に利用者さんの生活の援助・介助を行っています。やりがいを感じますね。何十人という人に対して何十通りものサポートをさせてもらっていると、それだけの数の「ありがとう」をもらうことができます。こんな仕事は他にはなかなかないですよね。福祉って世の中のイメージはあまりよくないけど、実際働いてみるとそんなことは少ないんですよ。

小宮

利用者さんとコミュニケーションを取っていくことが大事なんですね。

古藤

そうですね。コミュニケーションがないと信頼が生まれません。利用者さんは信頼できない相手からお世話をされたくないわけです。信頼関係が一番大事なんです。

Instagramでつながる対馬のカメラ好きコミュニティ

小宮

仕事以外にやっている趣味や活動はありますか?

古藤

写真撮影です。一眼レフで撮っています。始めた当初はiPhoneで撮っていました。小さいときから写真を撮ることが好きだったみたいで、写ルンですとかで撮りまくっていました。
2年前に先輩から刺激を受けて、CANONの一眼レフを使っています。初めて買ったカメラは入門用のEOS KISS X9です。それからYouTubeでいろんな動画を見るたびに、もっといいカメラがほしいなっていって。YouTuberの「光の魔術師」という人が紹介していたCANONのEOS 5D MarkⅡが気になって購入しました。12年前のモデルなんですけど、全然まだ撮れるし、今の購入価格が4万くらいというかなりの低コストなんです。本当に名機。

古藤さん撮影
古藤さん撮影
小宮

カメラ好きな人って、Instagramアカウントを使い分けているイメージなんですが、アカウントはいくつ持っていますか?

古藤

3つですね。プライベート用、風景用、フィルム風写真用と使い分けています。

小宮

カメラ撮影は一人で行うことが多いですか?何かグループがあったり?

古藤

グループが多いですね。「対馬カメラ部」というグループに入っています。

対馬カメラ部Instagram
小宮

「対馬カメラ部」の年代や人数を教えてください。

古藤

20代がほとんどで、15人強は所属してます。

小宮

結構いますね!どうやってつながったんですか?

古藤

Instagramのハッシュタグ検索です。
対馬で写真撮影をしている人を探して、一眼レフで撮影してそうな人をフォローして、DMでやりとりしてという感じでつながっていきました。

小宮

今っぽいつながりかたですね。いうことは、グループのメンバーはほぼ初対面?

古藤

そうなんですよ。最初はみんな知らない人ばかりで。

小宮

対馬でもそうやってつながることができるというのはSNSの良さですよね。

古藤

最初一人でもやろうと思っていたんですが、仲間が増えたらポートレートを撮れるじゃないですか?願ったり叶ったりです。

小宮

被写体が増えますもんね。自然だけじゃなく、人も気軽に撮れるようになる。

古藤

知り合いから広がって徐々に「子どもを撮ってください」とか、そういう話も増えてきています。マタニティフォトの話が来たときはびっくりしました!

小宮

すごい!お金はもらってないんですか?

古藤

もらってないですね。好きでやってるから、今のところお金をもらってという考えはないんです。好きだけで貪欲に上手くなりたいなと。

小宮

自分のペースで楽しく撮っていきたいということなんでしょうね。

古藤

そうなんです。依頼が来ても、自分のペースで撮れる範囲のものしか受けないようにしています。依頼者が「ああしてこうして」と言ってくる案件だとキツイですね…。だからお金をもらわずやっています。

対馬には都会では撮れない素敵な被写体がたくさんある

小宮

ずっと対馬に住み、対馬を見てきた身として、対馬の良いところ、嫌いなところ、足りないところなどを挙げてみてもらえますか?

古藤

好きなところは、自然が豊か、魚が美味い、人とのつながりが濃くてやさしい、まだ日本が残っている感じとかですね。近所付き合いもまだ起きていますし。子供を遊ばせるにはいい環境だなと思います。

小宮

古藤さんが対馬に住んでいる大きな要因は、自然が豊かなところだったり、気兼ねなく話せる仲間が周りにいることですか?

古藤

そうですね。それは大きいです。他にも、対馬の歴史に惹かれてという部分もあります。対馬の歴史は日本の歴史的にも重要なことが多くて、「対馬ってすげーな!」と感じています。

小宮

その反面、嫌いなところや足りないと思うところはありますか?

古藤

ポイ捨てです。大人が捨てていると、それを見ている子どもは大人になっても悪意なく捨ててしまいますよね。

小宮

ポイ捨て多いですよね。そこは変えていかないといけないと思っています。自然豊かな島を守るためにも。

小宮

最後に。全員が対馬を好きで住んでいるわけじゃなく、いろんな都合で仕方なく住んでいる人もいると思います。対馬のおもしろさをどう見つけたらいいのか、楽しく暮らすにはどうしたらいいのかというアドバイスがあれば教えてください。

古藤

気が合いそうなジャンルのコミュニティに入ってみることです。写真だったり、音楽だったり、グルメだったり何でもいいので。
写真の場合、これだけ自然いっぱいの写真を都会で撮ることは難しいじゃないですか。対馬だとこんなにいい被写体があるんですよ。そんな景色を一緒に撮りにいく仲間ができるということは、対馬を楽しむきっかけになるんじゃないかなと思います。
それから、僕は歴史やオカルトっぽいことも好きなんですけど、ふと古事記を読んでいたら対馬が出てきて驚きましたね。自分の好きなことと対馬がつながった瞬間です。そういうことも対馬のおもしろさと出会うきっかけになりますね。

小宮

「自分が好きなことと対馬にはこんな接点があるんだ」ということを提案できたらいいですよね。対馬でできないことを極力減らしていき、多様なジャンルのコミュニティが増えていくと、対馬を楽しんでくれる人も増えそうな気がします。
今日はありがとうございました!

古藤さんのInstagramはこちら。
対馬での写真撮影、または被写体として興味がある方は、ぜひつながってみてください。

https://www.instagram.com/taishu_photo/
https://www.instagram.com/takamasa_graph/
https://www.instagram.com/tsm.shoot.crew/ (対馬カメラ部Instagram)

次回お話を聞くのは、どんな若者なのか…みなさん、お楽しみに!