対馬で生きる若者の日常と本音 #002 城崎祥熙さん

対馬を支える人
小宮 大輔 小宮 大輔

「対馬で生きる若者の日常と本音」は、対馬で暮らす若い島人の生き方や考え方を紹介するリレーインタビュー記事です。

今回は、城崎 祥熙(しろさき しょうき)さんにお話を伺いました。

福岡などに出る理由がなくて対馬に残った

小宮

城崎さんは一度島外に出ていますか?

城崎

出ていないです。ずっと対馬にいます。

小宮

二連続で島外に出ていない組だ。
今現在までの経歴を教えてください。

城崎

久田で生まれて、久田の小・中学校に通っていました。その後、対馬高校の商業科に入学して、卒業1年目は対馬歴史民俗資料館(現対馬博物館)の事務として就職しました。島内の就職の案件が全然なくて、どうしようかとなっていたときに、1年契約の事務募集があったので応募してみた形です。
契約終了後に今の事務所の求人が出ていたので応募しました。ハローワークからは「絶対受かりません」と言われながら(笑)応募要項の条件(要税理士資格、経験者のみなど)の敷居が高く、僕にはどれも当てはまらなかったんですけど、ダメ元で受けてみたら採用されました。若い人手がほしいなど、お互いのタイミングが合ったようです。そして、今に至ります。

小宮

ずっと対馬に残って暮らしている理由は何かありますか?

城崎

逆に、福岡に出る理由がなくて残っています。何の仕事がしたいとかはっきり決まってなかったし、かといって何の目的もなく進学するのも違うと思ってたので。出る理由がないなら、とりあえず島内で働き口を見つけようと。結果よかったかなと思っています。

小宮

なるほど。「目的なく福岡に出たくない」という視点は意外と聞いたことなかったです。おもしろいなー。こういう話ってなかなか聞けないので。卒業して8年経つんですね。

城崎

目標がなかったから、とりあえず資格だけは取っておこうと思い、商業科を首席で卒業するくらいには勉強していました。大手自動車会社や電力会社って毎年1人は採用してくれるから、先生が成績優秀者に「採用試験を受けてみないか?」と言うんですよ。でも、特に行きたい理由がなかったから「いや、いいです」と断っていました。何回三者面談されたことか(笑)

小宮

安定を求めて大手に行きがちよね(笑)

城崎

そうですね(笑)

小宮

やりたいことが明確じゃないから、無責任に行けないというか。

城崎

目標を見出せずにとりあえず本土に渡って、でも結局対馬に戻ってきて就職するという様子を見てきているのもあり、もったいないなと。

小宮

ひょうひょうとしているようで、着実に歩みを進めていますね。対馬でもこんな進み方ができるよという一つの事例ですね。
税理士事務所で働いているときの一日のスケジュールを教えてください。

城崎

朝9時から仕事で、まずはメールチェックを行い、お客さんの帳簿などを処理しています。処理が終わったらお客さんのところに赴いて、数字について報告したり改善提案をします。その後、事務所にもどって別のお客さんの帳簿を処理します。基本はこの繰り返しです。

小宮

その作業が何時くらいまで?

城崎

だいたい17〜18時までです。確定申告の多忙期とかは20〜21時になることもあります。家に帰って体力に余裕があるときは、ランニングなどで体を動かします。座りっぱなしの仕事だから意識的に体を動かしていますね。ごはんを食べて、何も予定がなければカメラいじりをしたり、YouTubeでカメラマンの動画を見たりしています。

小宮

前回インタビューした古藤さんに続き、カメラが趣味なんですね。Instagramなどに写真をアップしているようですが、周りから反響はありますか?

城崎

SNS経由で「写真でカレンダーを作ってくれませんか?」という問い合わせが結構来ました。東京や神奈川からも。試しに小さいカレンダーを作ってみたら、「私もほしい」とさらに問い合わせが来ましたね。

小宮

SNSの数ある写真の中から、城崎さんがアップしている写真に興味を持ってもらったというのはすごいですよね。

カメラ沼にハマったきっかけは対馬の星空

小宮

カメラというキーワードが出たのでそれについてもう少し聞かせてください。カメラにハマったきっかけは何ですか?

城崎

対馬の星空ですね。年末年始とかに同級生が帰ってくるじゃないですか。そのときにドライブをしていて、内山峠に行ったときに見た星がきれいで。記念に1枚撮れないかと思って試し撮りしてみたら、思いの外きれいに撮れたのが初めのきっかけです。それ以来、毎年そこに行って星を撮ったりしています。

小宮

それだけ対馬の自然が素晴らしいということなんでしょうね。カメラに納めたくなるような景色。そこからのめり込んでいって、今では島内でもカメラマンとしての城崎さんを知ってる人は増えていると思います。

城崎

沼にハマりました。どっぷりと(笑)

新庄

(カメラトークがしたくなったのか、突然の登場)
おすすめのカメラは何ですか?今使っているカメラは?

城崎

ソニーのα7R2です。「対馬で天の川を撮れないかな」と思って検索していたときに、漁火公園で天の川を撮っている人を見つけました。この人すごいなと思って見ていたら、意外と近くにいた人で、今のカメラはその人から買い取りました。歳は離れているけど、今でも相談したり、一緒にBBQしたり仲良くさせてもらっています。

小宮

いいなー。そういうお付き合い憧れます。

城崎

師匠ですから!

新庄

城崎さんの師匠ってみんな気になりますよね(笑)「あの人の師匠!?」って。

城崎

師匠は変に写真の色味をいじってなくて、そのままの色合いを大切にしています。そんなところにも惹かれました。

新庄

ちょっと写真深堀してもいいですか?(笑)編集・現像するとき、撮った写真そのままで勝負する人と、Lightroomなどで現像してきれいにする人がいると思うんですけど、どっち派ですか?

城崎

風景写真はなるべく見た目に近いほうが好みです。人物なら色などを現像で調整することが多いですね。

城崎さん撮影
城崎さん撮影
城崎さん撮影
城崎さん撮影
小宮

人物撮影(ポートレート)って被写体の人の個性でもあるから、それを編集者が見極めて、その人に合った現像をするってことかなと思いました。

城崎

そうですね。現像の仕方はそのときの自分の流行りもあります。青っぽい感じがよかったり、緑っぽい感じがよかったり。

新庄

カメラは奥が深すぎて…。対馬の若者でカメラ撮影をしている子たちは、絶対城崎さんの写真を見ていると思います。

小宮

Instagramのハッシュタグ #対馬 で検索すると、よくトップに出てきますもん。

新庄

撮影するときに気をつけていることはありますか?

城崎

風景写真なら、前景・中景・後景を絶対入れるようにしています。それぞれの場所にモノが配置されるような構図にすると、自然と奥行きが出るんですよ。風景写真は、奥行きがないとノぺっとしてしまいます。特に広角レンズで撮影したときは。

自然の豊かさと家族ぐるみの付き合いができる距離の近さがお気に入り

小宮

対馬のことについて聞きます。対馬の良いところだったり、嫌いなところ、足りないところを教えてください。まずは良いところから。

城崎

自然が豊かなのはありがちですけど、それに尽きるかなと。他には、人付き合いが近いというか、家族ぐるみの付き合いができるところですね。家族に話せないことでも話せたりします。周りも気にかけてくれますし。逆に、それが嫌いなところになる人もいると思います。

小宮

プライベートに入り込んできすぎたり(苦笑)

城崎

そういう風に周りが観察していることもあって、他人の目を気にしすぎてしまう環境も嫌ですね。

小宮

どこからか見られている感じはありますね。めんどうなんで、僕は気にしないようにしていますが。

小宮

「対馬にもっとこういうところがあったらいいな」というものはありますか?

城崎

大きな観光名所みたいなものがあるといいなと思います。写真つながりでいろんな人と話すことがあって、「何で観光客が少ないとかね」なんて会話になったりします。白嶽とかもみじ街道とかあるんですけど、「対馬と言えば絶対ここ!」という場所がない気がします。整備が中途半端なのも気になります。もみじ街道は雑木が多いから、そこを整備すればもっときれいなのになって。
一つ目玉があって、それを起点に他の名所を巡るみたいな流れができるといいですね。知人は、大きな自然公園があってもいいんじゃないかと言っていました。公園がないですもんね、あんまり。

小宮

自然公園で言うと、鮎もどし自然公園、神話の里自然公園あたりがありますけど、そんなに大きくはないですね。
整備されていなくて老朽化してる公園ならたくさん…。

城崎

あと、弁当を買ったりしたとき、落ち着いて座って食べる場所がほしいです。
上手く使われていなくてもったいない場所はいっぱいあるのになと思います。

小宮

目玉と言われると、和多都美神社、烏帽子岳かなと思いますね。白嶽はめちゃくちゃ良いところだけど、体力がある人じゃないと厳しくて、人を選びます。もっと一般的に観光したい人にとって、先の2つは外せないでしょう。
そういえば、神話の里自然公園に新しくトイレできましたね。

新庄

トイレって大事ですよね。観光地は特に。

城崎

きれいな自然はいっぱいあるんですけどね。千俵蒔山とかもきれいですし。活かしきれていないと感じてしまいます。

小宮

対馬で楽しく暮らすための秘訣を教えてください。中には、仕方なく対馬に住んでいる人もいると思うんですよ。転勤が多い島ですし。そんな人のためにもアドバイスがあれば。

城崎

飲み歩くのは楽しいと思うんですよね。距離が近いこともあるので、すぐに仲良くなれる。話すのが苦じゃない人にとっては…ですけど。顔馴染みになったらそこから輪が広がるでしょうし。

小宮

距離の近さが苦手な人には対馬は向いてないのかもしれませんね。良くも悪くもほっとけない感じというか。
みんながみんなそうじゃないことは大前提として、対馬の人って、最初の入り口は品定めするかのように接することがあるけど、いざ仲良くなると、むしろ入り込みすぎるという極端な面があるなと思っています(笑)

城崎

適度な距離感がほしいですよね(笑)

小宮

あまりアクティブじゃない人はどうしたらいいと思いますか?

城崎

自分がアクティブじゃなかったとしたら、興味が出てくるのはキャンプとかですね。一人で自然を満喫できますもん。

小宮

キャンプの間は、人との関わりを断つことができますね。

城崎

対馬には一人でのんびりできる場所が多いですし。

小宮

自然を一人占めできますね。なんて贅沢。

城崎

他には、何かビジネスを考えてみるのはどうでしょう?対馬には未開拓な部分がいっぱいあるでしょうし。それを考えるのは楽しいかもしれませんね。

小宮

そう、対馬ってブルーオーシャンだらけだと思ってます!例えば、福岡はおしゃれで通いたくなるカフェがたくさんあるけど、対馬にはありません。カフェに限らず、対馬でおもしろい事業を生み出す人はこれからどんどん増えてくると思いますね。

城崎

事業絡みだと、カメラも含め、対馬で何かできないかなと考えたりすることが多いです。ただ撮るだけじゃなくて、何かしらのサービスにして提供できないかなって。

小宮

お!今後の展望ですね?

城崎

最近はずっと、何かできないかなと考えてて。そしたら時間経つのが早くて(笑)

小宮

(笑)
全然可能性はありますよね。Webサイトやポスター、商品のブランディングとかいろんな面で写真って必要だし。

新庄

対馬に残って今26歳。30歳を超えたとき、どうなっていたいですか?対馬に残っているからこそ見えていることもあるでしょうし。周りに仲間も増えてきているでしょうし。
カメラで食べていきたいと思ったりしますか?

城崎

それだけで食べていこうとは思っていません。対馬じゃ難しそうな気がします。福岡のような都会では、出張撮影サービスなどが主流になっているんです。学生が友達と撮ってもらったり、カップルで撮ってもらったり。対馬の人は、あまり写真を撮らせてくれないんですよ。苦手な人が多くて。だから出張撮影サービスみたいなものは難しいのかなと思っています。
けど、高校とかに声かけて、学生フォトを撮らせてもらえないかという声かけをしてみたいです。「あのとき撮ってもらってよかったね」と思ってもらえるように。

新庄

福岡の仕事を取ったりは考えていないんですか?

城崎

どうしても交通費の問題が出てくるから、なかなか採算が取れないんですよ。撮影って現場に行ってなんぼなので。

小宮

対馬の写真素材サイトとかやってみたいなと思いますね。たしか五島はやっていた気がします。
城崎さん、今日はありがとうございました!

城崎さんのInstagramはこちら。
ここでは書かなかったおもしろい話が聞けるかもしれないので、写真や働き方について相談してみたい方は、ぜひつながってみてください。

https://www.instagram.com/shirotake4624/

次回お話を聞くのは、どんな若者なのか…みなさん、お楽しみに!